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【自動車の見直されるべき価値とは】 ~中山 聡史~

2020年06月01日

政府が緊急事態宣言を解除しました。

 

その結果、新型コロナウィルスのリスクを考えながら、経済活動を実施していく必要があると考えます。

 

 

そんな中で、新たに価値が見直されているのが、私が連載させていただいているコラムの枠組みでもある「自動

車」です。

 

 

国産の自動車は戦後、豊田喜一郎氏が「今後の日本を支える産業の1つとして、成功させ

 

るべき」という考え方から、大きな発展を遂げてきました。日本特有の山道、未舗装道路、狭い道に特化した

 

国産小型車を開発し、さらに日本人特有の品質に対する考え方からグローバル展開を果たすことができ、全世界に

 

おいても、こんなに狭い国土に世界と戦える自動車メーカーが多く存在しているのは、他の国にはありません。

 

 

自動車の発展を振り返ってみると、最初は性能を高め、機能を増加させることで、自動車の価値を向上させてきま

 

したが、性能&機能が飽和状態になると、そこからは品質&信頼性を高めるといった点でさらなる発展を遂げてき

 

ました。先ほども声明しましたが、それが日本の自動車の強みとなっていったのです。

 

 

では、今の時代の自動車はどうでしょうか。

 

 

多種多様な市場のニーズに合わせるために、様々なカテゴリーに分類しながら、必要な機能を付与していき、顧客

 

満足度を高めていっています。更なる付加価値として、「乗って楽しい、保有して満足感を得る」など、人

 

間の五感に訴えるような自動車も多く販売されています。

 

 

上記のような考え方で自動車メーカーは切磋琢磨しながら、成長してきたと考えています。

 

 

それでは今後はどのような価値が必要となってくるのでしょうか。

 

 

今回の新型コロナウィルスが代表するように、「人の安全」が脅かされる事態になってしまっています。こ

 

れでは人間が安心して生活できる状態ではなくなってしまいます。更に「Stay Home」のように人々が活動し

 

なければ、拡散はしないですが、経済活動や人が生活していくためには、やはり「移動」は不可欠です。

 

 

その「移動」に着目し、移動に対しての「安心・安全」を提供するのが「自動車」の役割だと考えていま

す。

 

 

ある中古車販売店が自動車を無償提供すると発表すると、多くの人々が中古車販売店に問い合わせをしているよう

 

に、市場も自動車が「安全」「移動」できる製品だと認識していると考えます。

 

 

そこで、今後自動車メーカーに求められるのが「安心・安全」な自動車を提供することであり、技術者は「安

 

心・安全」の定義を設定しながら、その具体的な手段を構築していく必要があるのです。

 

 

トヨタ自動車は、「楽しい車」を実現するとともに「お客様に安心・安全を提供する」といった

 

考え方を昔から実践してきています。その「安心・安全」を再度定義しなおし、自動車に求められる「安心・

 

全」を実現してみてはどうでしょうか。

 

 

今の時代の「安心・安全」な自動車は、乗り合う人々が「安心」して「移動」ができることではないでしょう

か。

 

お客様は自動車を買うことで「安全」を手に入れることが可能となります。

 

 

例えば、すでに実施されているのは、「ドライバーズシート(運転席)・パッセンジャーズシート(助手席)」

 

「リアシート(後部座席)」を仕切ることで、感染者を「安全」に異動させることができるなど、になります。

 

 

そのような市場のニーズは多くあります。私が考えているニーズは、「ガソリンスタンドで、ガソリン給油のノズ

 

ルをもって、給油口に運びたくない」などの声はよく聞いています。ガソリンスタンドも改良する必要があるかも

 

しれませんが、ロボットで自動的に給油できるようなシステムや自動車側はそのシステムにあった給油口を作る必

 

要があるでしょう。

 

 

上記のように「安心・安全」をキーワードに、具体化すべき市場ニーズを抽出していきながら、具体的手段を

 

検討していく必要があります。その検討は商品企画者と技術者が知恵を絞って実施していかなければなりません。

 

 

私は商品企画段階で重要な3つのポイントを提起しています。

 

 

1.見てわかる

 

セールスマンが説明しなくとも、商品を見ただけでお客様が感じるポイントを明確にします。

 

感性に訴えかける部分、お客様の困りごとが解決できる部分など。

 

使ってわかるにつながる部分で、見ただけで使い方が分からなければなりません。

 

例:自動車の社内のスイッチ

 

説明書が読まなくともスイッチに絵柄が書いてあり、見ただけでスイッチを押すとどのような効果があるのか理解

 

できる。

 

 

2.使ってわかる

 

使ってみると、カタログに記載されている訴求点、差別化点がすぐに理解できる。

 

セールスマンが言葉で説明してきた内容が使ってみて、すぐに感じることができる部分です。

 

例:自動車の走行モード切替

 

状況や気分に合わせて、多彩な乗り味を楽しむことができる。

 

① エコモード:燃費優先の制御(環境性能向上👆)

 

② ノーマルモード:走りと燃費のバランス

 

③ スポーツモード:加速レスポンス(加速力向上👆)

 

⇒走りながら、わくわく・ドキドキをより感じてもらう。

 

 

3.使い終わってわかる

 

使い終わって、他の商品に変更する場合に感じるポイントを明確にします。

 

⇒廃却しやすい、リサイクル性能が高い、リセールバリューが高いなど。

 

使い終わった瞬間もお客様にメリットを感じてもらい、再度同じ製品を購入してもらうようにします。

 

例:水のペットボトル

 

飲み終わった後、小さくコンパクトにすることができ、そのまま廃却することができる。

 

 

このような視点で、今の時代に必要な「安心・安全」な自動車をぜひ検討していただきたいと思います。